抽斗の釘

小説、散文、文章、短編

2019-08-10から1日間の記事一覧

鬱の花

祇園の街は夜半を過ぎて、昼間の賑わいや夜の街のきらめきは夢のように消えていた。それは何も喧噪だけではなく、大抵の店灯りはもう消されてしまって、暗闇を引き立てるぼんやりとした街燈と、時折空車のタクシーが、ゆっくりと黄色いライトを揺らして通夜…