抽斗の釘

小説、散文、文章、短編

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

雷(いかづち)の信者

野焼きの煙が市街まで流れ込んだ。駅前には焦げ臭い香りが漂う。空は雪曇りだった。 街路樹の間には、一組の男女が立っていた。女は水色のフェルト帽を被り、同色のコート、丈の短いスカートに黒いブーツを履いている。そして長身、帽子の分、並ぶ男より高く…