抽斗の釘

小説、散文、文章、短編

2022-07-10から1日間の記事一覧

月か花

気持ちのよい夜であった。 一日分の熱に夜気が注いで、街は足し水のようにほんわりとしている。 居酒屋のエアコンに凍えた体は、生ぬるい夜の風に浸かって生き返ったところ。 火照ったり冷えたりを繰り返した夜に、脳はぼんやりとした夢心地に緩んだまま。 …