抽斗の釘

小説、散文、文章、短編

エッセイ

蜂の飛行高度

蜂が背から、耳の縁を通っていく。 そのたびに僕は首を縮めて、目の横に映った黒い影が遠くへ行くのを見届ける。 その間ひと時暑さを忘れ、そして次第に彼らを憎む。 それは毎年のように経験することだった。 ──虫の飛行する音が今でも苦手だ。 とりわけ甲虫…

もうやめて

悪寒と共にくしゃみが出た。 ひどいくしゃみで、痛みと共にティッシュには黒い血粒が付いた。 翌日には発熱で、一日中布団にいた。 その熱が少しだけ弱まったころ、これはいけないと総合病院に連絡をとり、熱が引いた翌日に検査、またその翌日には陰性という…